眼底カメラ

fundus camera / Funduskamera

§ 眼底カメラの歴史

写真機・カメラというと, 像の形成像の記録 という2つの要素が必要である.そもそものピンホールの原理は紀元前から気付かれていたとのことであるが,写真 photograph の事始めは,暗箱(ピンホールカメラ)により景色を平面に投影する,あるいは小さい画像をトレースする仕掛けが先行し(16世紀から18世紀)ここに感光材の研究が合流する(19世紀前半)ことになる.そして,初めて写真として景色を記録したのが1827年のことだそうである.ちなみに露光時間は8時間 そうして被写体として人物が撮れるような感光材の進化により,1840年前後にネガポジ方式が登場した.1851年にはガラス原版が発明される.
 《閑話休題》

折りしも,検眼鏡の発明も同年で,ここから眼底写真への挑戦が始まることになる.当時の状況は,光量不足,長時間露光,眼球運動,強い角膜反射のため,詳細のわからない画像だったと記されている中で,文献上最初の生体人眼の撮影は1886年となっている.露光は2分半だったそうだ.
角膜反射の解決にはさらに10数年,20世紀に入り漸くアトラスとして世に出せる画像になった,とのことである.しかしこの時の仕掛けは,この世に1台.軽自動車位の大きさだったそうである.

現在の一般的な眼底カメラ機構はZeissⲻNordenson型と呼ばれる.市販型は1925年である.倒像検眼鏡の原理構造で,瞳孔下方から照明し,瞳孔中央の眼底反射光をとらえている(同軸照明方式 対物レンズを共有).

*参考
①Bennett TJ:MILESTONES IN OPHTHALMIC IMAGING,The Early Days of Fundus Photography.The Journal of Ophthalmic Photography volume 41(2)80-86,2019
②History of Ophthalmic Photography Blog. posted by Timothy J.Bennett,Wednesday,October 22,2014.updated:Friday,January 9,2015.

§ 原 理

眼底カメラは照明系と撮影系の光学系は一部を共用しているため,内部反射が強い.この対策が黒点板 black spot plate の仕掛けである(非球面レンズにより,反射光を一点に集め吸収している).
共用部分ではリングスリット構造によるドーナツ照明 annular illumination で光路を分けている.対物レンズを出た照明光は水晶体の位置に結像し,眼底を平均に照明する(外部から見ると,リング照明が角膜上でシャープに見える位置がベストアプローチである).

撮影光は中央部よりカメラに戻り,モニタされる.

§ 撮 影

➊視度調節 dioptor adjust と ピント:
  通常の散瞳型カメラでの操作は,肉眼でファインダを追うことになる.このため先ず第には,カメラの光学系を検者・撮影者の光学系に合わせなければならない. 焦点板に描かれている字ヘアラインを,検者の遠点にて明視するよう調節する.即ち,視度調節である.

これにより,撮像面と検者の網膜面が共役関係となる.眼底像と字線の双方が,緒にピントが合う必要がある.

➋上下左右 alignment
 

➌前後 working distance
 

➍ガイド機構:
 

§ よい写真とは

➊後極のパーツ,視神経乳頭と黄斑の配置:
  眼底像に限ったことではないが,画像がモノを言うのは枠の中の切り取られたシーンである.そうすると,視神経乳頭・黄斑の位置が自ずと想定されてくる.眼底像の重心がどこにあるか,ということだ.

撮るほうは意味のある画を記録するために,スイッチを押す.
見るほうは存在をアピールしている所見を探す.ここに撮影者の感性が表れることになる.・・・
学会発表や雑誌記事で,残念なイマイチ画像に出会うことがある.発表者はきっと思ってる【撮ったの誰・・・・あ オレか・・・・】.

➋フレーム中心は,うまくない.:
  単純には,黄斑を中心に持ってくるのは悪くはない.ただし,撮影結果を見て陰りが分からない時に限って,結果オーライ.

右図Aでは円内に微かな陰りがかぶっている.図Bでは更に出血斑そっくりに出ている.強度近視でくっきり写るので,なお始末が悪い.

理由は,黒点板の存在である.構造上,避けられないために,黄斑・中心窩や記録対象の目的部位は,フレーム中心からずらす必要がある.少なくともマニュアル撮影では配慮した形跡がないと,アウト.

§ 広く
④ ⑤
§ モノクローム・単色光写真
参照画像白黒(パンクロ)画像緑フィルター赤フィルター
§ 自発蛍光
§ フルオレセイン蛍光インドシアニングリーン蛍光
例によって 記述の誤りについては 連絡 をください

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